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公認会計士の試験が免除される人は?申請方法と条件も解説

2023.07.26
コラム

公認会計士試験には科目の免除制度が定められており、要件を満たしていれば受験する科目を減らすことが可能です。公認会計士試験は難易度が高く、かなりの勉強時間が必要な試験のため、試験科目の免除を受けられると負担を軽減させられます。

当記事では、公認会計士試験の免除制度について、免除要件と免除申請方法について詳しく解説します。公認会計士を目指している方は、効率的に勉強を進めるためにもぜひ当記事を参考にしてください。

 

1.公認会計士試験の免除制度とは?

公認会計士の試験には、試験科目を一部免除する制度が複数あります。社会人を含めた多様な人々が受験しやすいようにと設けられており、免除されるための要件を満たしていれば、通常よりも少ない科目数での受験が可能です。

出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」

試験範囲が多く難関資格とも言われる公認会計士試験ですが、免除制度をうまく活用することで、余裕をもった試験対策ができるでしょう。

 

2.公認会計士試験の免除要件

免除要件には、大きく分けて2つの種類があります。

合格実績のある科目の免除一部の科目については一度でも合格していれば、次回以降の受験時に試験が免除される
業務経験や保有資格による免除これまでの業務経験や保有している関連資格に応じて、受験科目の一部が免除される

出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」

免除となる内容や範囲によって、満たすべき要件は異なります。詳細を、試験ごとに詳しく確認しましょう。

 

2-1.短答式試験

短答式試験とは、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目で構成されています。以下の条件を満たす場合、免除申請手続きを行うことで試験の全科目もしくは一部の免除が可能です。

【短答式試験の4科目すべてが免除となる条件】

過去に合格している短答式試験に合格している場合、合格発表の日から起算して2年以内に行われる短答式試験が免除
所定の学位や職歴がある
  • 大学等における商学の教授または准教授の職歴2年以上
  • 商学の研究者として博士の学位を授与された者
  • 大学等における法律学の教授または准教授の職歴3年以上
  • 法律学の研究者として博士の学位を授与された者
所定の資格を保有している
  • 司法試験合格者
  • 旧司法試験第2次試験合格者

【財務会計論の受験が免除となる条件】

所定の職歴がある
  • 上場会社、国・地方公共団体等で会計または監査に関する実務経験者、または業務に従事した期間が通算7年以上ある者
所定の資格を保有している
  • 税理士資格保有者
  • 税理士試験の簿記論および財務諸表論の科目合格者または免除者

【財務会計論・管理会計論・監査論が免除となる条件】

所定の学位がある会計分野の専門職大学院において、規定の科目に関する研究および指定以上の単位数を履修し、修士(専門職)の学位を授与された者

出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」

特に「過去に短答式試験に合格したことがある」に関しては、特別な職歴や学歴・資格が不要ですべての受験者に適用されるため、見落とさないようにしましょう。

 

2-2.論文式試験

論文式試験とは、4つの必須科目と1つの選択科目の合計5科目で構成されています。科目名は、必須科目が「会計学・監査論・企業法・租税法」、選択科目は「経営学・経済学・民法・統計学」の中からいずれか1科目です。

以下の条件を満たす場合、免除申請手続きを行うことで試験一部科目の免除が可能です。

【論文式試験の免除要件】

過去に一部科目で合格している過去2年以内に「公認会計士試験論文式試験一部科目免除資格通知書」が交付されている場合に限り、該当科目が免除
所定の学位や職歴がある
  • 大学等における商学の教授または准教授の職歴3年以上or商学の研究者として博士の学位を授与された者
    →会計学・経営学の2科目が免除
  • 大学等における法律学の教授または准教授の職歴3年以上or法律学の研究者として博士の学位を授与された者
    →企業法・民法の2科目が免除
  • 大学等における経済学の教授または准教授の職歴3年以上or経済学の研究者として博士の学位を授与された者
    →経営学の免除
  • 監査制度に関する事務または業務に従事した者で、公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者
    →監査論の免除
所定の資格を保有している
  • 司法試験合格者
    →企業法・民法の2科目が免除
  • 税理士資格保有者
    →租税法の受験免除
  • 不動産鑑定士試験合格者、不動産鑑定士試験第2次試験合格者
    →経済学又は民法どちらかの免除
  • 旧司法試験第2次試験合格者
    →第2次試験で受験した科目の免除
  • 旧公認会計士試験第2次試験論文式試験で免除科目があった者
    →免除を受けた試験科目の再免除

出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験に関するQ&A」

論文式試験は免除要件が複雑で、保有する資格や学歴によって免除範囲や内容が異なるため慎重な見極めが求められます。一部科目に免除が適用された場合、免除科目を除いた総得点の平均によって合否が判定されます。

 

3.公認会計士試験の免除申請方法は?

免除制度は、免除対象になっているからといって自動的に適用されるものではありません。受験者自ら、書面もしくはインターネットでの免除申請手続きが必要です。

公認会計士試験の免除申請の流れは下記の通りです。

1必要書類の準備
免除申請に必要な各種証明書類は、免除事由により異なります。金融庁の公認会計士・監査審査会ホームページを確認し、必要な書類を漏れなく準備してください。
2免除申請
公認会計士試験免除申請書に必要事項を記入し、添付書類を同封の上、公認会計士・監査審査会事務局へ申請を行います。(公認会計士試験免除申請書は、金融庁の公認会計士・監査審査会ホームページよりダウンロードが可能)
3審査
公認会計士・監査審査会事務局にて、免除要件を満たしているかの審査が行われます。
免除要件を満たしている場合は「公認会計士試験免除通知書」が交付されます。
4受験願書の提出
受験願書に必要事項を記入の上、交付された「公認会計士試験免除通知書の写し」を添付して申し込みを行いましょう。

出典:公認会計士・監査審査会「公認会計士試験のインターネット出願について」

出典:公認会計士・監査審査会「免除申請の流れ」

注意点としては、合格実績のある科目には試験免除期間が設定されていることです。合格実績のある科目は、通知書発行から2年以内であれば免除を受けられます。一方、業務経験や保有資格を元に交付された免除通知書に有効期限はありません。出願手続きには写しを利用し、原本は大切に保管しておきましょう。

 

4.公認会計士試験の免除制度は利用したほうがよい?

公認会計士の合格基準を考えると、免除制度は必ずしも利用するべきだとは言い切れません。理由は、試験の合格基準にあります。

【公認会計士試験の合格基準】

短答式試験
  • 全体の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率で判定
  • 免除科目がある場合、免除科目を除いた他の科目の総得点の比率によって判定
  • 満点の40%に満たない科目がある場合は、不合格となることもある
論文式試験
  • 全体の60%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率で判定
  • 免除科目がある場合には、免除科目を除いた他の科目の総得点の比率によって判定
  • 満点の40%に満たない科目がある場合は、不合格となることもある
論文式試験の科目合格基準総点数の60%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率以上を得た者

出典:公認会計士・監査審査会「合格基準について」

公認会計士試験では、総点数と科目ごとの得点比率をベースに合否が決まります。総点数の底上げを狙い、本来なら免除される得意科目をあえて受験するケースも存在します。

ただし、受験科目が増えると負担も増えるため、自分の得点能力や試験までに確保できる勉強時間を総合的に考えて判断しましょう。

 

まとめ

公認会計士になるための試験には短答式試験と論文式試験があり、それぞれに試験の免除制度が存在します。特定の学位を持っていたり、業務経験があったりする場合のほか、以前に公認会計士試験を受け合格した試験や科目がある場合に試験免除が受けられます。

試験免除を受けるときは、免除申請をする必要があります。免除事由によって必要書類が異なるほか、合格実績のある科目の免除には期間が設定されているため、申請の際に確認するようにしましょう。

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