コラム COLUMN
会計士はどのような職業?仕事内容や会計士になる方法を解説
会計士は、経理や会計における専門知識を有した代表的な職業です。認知度が高く、誰もが一度は聞いたことのある職業名・資格名ではあるものの、税理士との違いや具体的な仕事内容についてはさほど知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、会計士の概要や公認会計士・税理士との違いから、会計士の仕事内容と年収、さらに会計士になる方法と向いている人の特徴まで徹底解説します。会計士の仕事に少しでも興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 会計士とは
会計士とは、主に企業の監査業務や経理・会計業務、コンサルティング業務を専門分野とする職業です。中でも、企業の監査業務は会計士における一般的な仕事であることから、会計士は「監査のスペシャリスト」とも呼ばれています。
会計士の主な就職先は、監査法人・税理士法人・会計事務所・コンサルティングファームのほか、一般企業の経理部門・財務部門が挙げられます。監査法人は会計士ならではの職場であり、監査法人での実務経験を活かせば大手企業における経理マネージャーといったポジションも狙えるでしょう。
会計士になるには国家資格を取得する必要があり、国家試験の難易度は司法試験や医師国家試験にならぶ高さである点も特徴です。
また、公認会計士と会計士に違いがあるのか気になっている方や、税理士と混同してしまう方も多くいるでしょう。ここからは、会計士と公認会計士・税理士との違いを詳しく説明します。
1-1. 公認会計士と会計士の違い
会計士についてよく知らなければ、「公認会計士」と「会計士」という2つの名称を聞いて「いずれも異なる職種」「会計士=非公認会計士」などと認識してしまうことも無理はありません。
しかし実は、公認会計士と会計士に違いはなく、会計士は単純に公認会計士を省略した表記となっています。そのため、非公認会計士という位置づけの会計士も存在しません。なお、監査法人の特定社員が「非公認会計士」と呼ばれることはあります。
1-2. 会計士と税理士の違い
公認会計士と会計士は同じ意味をもつ職業ですが、会計士(公認会計士)と税理士は似て非なる職業です。会計士と税理士の大きな違いは、「国家資格に規定される法律」と「独占業務の内容」の2点にあります。
会計士は公認会計士法によって規定された国家資格である一方、税理士は税理士法によって規定された国家資格です。
会計士の独占業務は「監査業務」であり、依頼を受けた企業が作成した財務諸表の適正度をチェックし、第三者の立場から意見表明・評価・指導を行います。そして、税理士の独占業務は「税務業務」であり、依頼を受けた企業の税務代理業務や税務署類の作成、さらに税務相談などが主な仕事となります。
いわば、会計士は会計・監査における専門家であり、税理士は会計・税務における専門家であると覚えておきましょう。
なお、公認会計士資格の取得者は税理士として登録することも可能です。
2. 会計士の仕事内容とは
会計士の主な仕事内容は、「監査」「税務」「コンサルティング」の3つが挙げられます。
監査 |
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依頼を受けた企業や各法人などが作成した財務諸表を、独立した第三者の立場に立って調査し、会計基準に基づき適切に作成されているかを証明します。財務諸表の信頼性を担保する重要な存在として、大手企業や地方公共団体などあらゆるフィールドで活躍できます。 |
税務 |
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会計士試験の科目には税理士試験の必須科目ともなる租税法が含まれているため、会計士資格の取得者は税理士として登録することも可能です。税理士登録をした会計士は、依頼を受けた企業の税務業務全般(税務代理業務・税務署類作成・税務相談など)を税理士としてサポートします。 |
コンサルティング |
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会計士は、会計や監査、税務に関する豊富な専門知識を活かして、企業の経営戦略の立案や経営全般に関する相談・助言を担うこともあります。コンサルティング業務を行う場合は、監査や税務に関する知識のほか、経営者の視点に立ったビジネススキルも求められます。 |
2-1. 会計士の年収
厚生労働省が公表した「令和4年賃金構造基本統計調査」には、会計士における最新の平均年収が示されています。下記の表は、会計士の月収・賞与・年収それぞれの平均値を、男女別にまとめたものです。なお、会計士のみを扱った給与データはないため、公認会計士・税理士を総合した平均年収となる点に注意してください。
男性 | 女性 | |
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平均月収 | 約50.4万円 | 約38.9万円 |
平均賞与 | 約188.6万円 | 約128.7万円 |
平均年収 | 約794万円 | 約595万円 |
男女問わず平均年収は高い傾向であるものの、男性会計士と女性会計士とでは、平均年収に約200万円の違いがあります。これは、妊娠・出産・育児など女性ならではのライフステージが大きく関わっていると言えるでしょう。
また、上記はあくまでも平均値であり、経験年数や携わっている業務内容によって収入も変動します。専門性の高い財務会計知識を豊富に有し、かつ幅広い案件を抱える会計士であれば、平均以上の年収を得られるでしょう。
3. 会計士になる方法
会計士は比較的高年収を得られる資格である一方で、司法試験や医師国家試験にならぶ難関資格でもあります。少なくとも3,000時間程度の勉強時間が必要で、資格取得までは早くても2~3年、遅ければ5年以上の年月がかかると言われています。
また、なるべく効率よく会計士を目指すためには、会計士になる方法や流れを熟知しておくこともおすすめです。ここからは、会計士になる方法・流れを詳しく説明します。
3-1. 公認会計士試験に合格する
会計士を目指すなら、公認会計士試験への合格は必須です。公認会計士試験は短答式試験・論文式試験の2つの試験があり、論文式試験を受けるためには短答式試験に合格していなければなりません。
2022年度における公認会計士試験合格者の総数・割合は、下記の通りです。
願書提出者数 | 論文式試験受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
18,789人 | 4,067人 | 1,456人 | 7.7% |
出典:金融庁「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」
公認会計士試験への願書を提出した18,789人のうち、2つの試験に合格できた方は1,456人でした。合格率は7.7%と、非常に低いことが見てとれます。
合格者の1日あたりの勉強時間は平均5時間、トータルの勉強期間は1年半~3年程度と言われています。合格を目指すなら、上記の勉強時間を参考に試験対策スケジュールを立てるとよいでしょう。
3-2. 実務経験を積む
公認会計士試験に合格するだけでは、会計士として活躍することができません。実際に公認会計士として登録するためには、試験合格のほか3年以上の実務経験も必要です。
会計士に必要な実務経験は、「業務補助」と「実務従事」の2種類に大別されています。
業務補助とは、監査証明業務において公認会計士または監査法人の補助を指し、基本的に1年につき2以上の法人の監査業務を行わなければなりません。
そして実務従事とは、財務に関する監査・分析や、その他実務への従事を指します。具体的な内容は、「国や地方公共団体などの機関における会計検査」「監査や国税に関する調査の実務」など、公認会計士法施行令第2条に規定された業務が対象です。
3-3. 実務補習を修了する
公認会計士として登録するためには、公認会計士試験の合格・3年以上の実務経験に加えて実務補修の修了も必須です。実務補修を受けられる実務補修所は、東京・東海・近畿・九州の4つの地域にあり、原則として3年間にわたってカリキュラムを受ける必要があります。
しかし、授業が実施されるペースは1年目で週1~2回程度、2年目で月1回程度、3年目で年1~2回程度と、徐々に授業を受ける負担が軽減されます。加えて、受講形態には実務補修所で直接授業を受けるパターンとeラーニングでオンライン授業を受けるパターンの2つがあり、働きながら・会計士としての実務経験を積みながらカリキュラムを受けることも可能です。
実務経験を積むのに並行して実務補習を受けることは、公認会計士登録への近道と言えるでしょう。
4. 会計士に向いている人
会計士として働くことに向いている人の特徴は、下記の通りです。
- 責任感が強い
- 会計・税務・経営について勉強するのが好き
- 論理的思考力がある
公認会計士は、企業や法人における会計監査のスペシャリストであり、上場企業や大手企業の監査も担える唯一の職業となります。そのため、会計士としての責任をもって業務にあたる人は、成功もしやすいと言えるでしょう。
会計・税務・経営について勉強するのが好きな人や論理的思考力がある人は、会計士としての専門スキルが身につきやすく、習得した知識を実務にもしっかりと活かせる傾向です。
また、これらの特徴は会計士として働きながら自ずと身につくものでもあります。実際に会計士として働くことで責任感が生まれたり、論理的思考力が培われたりするため、「現段階でこのような特徴が自分にはない」と感じても不安に思う必要はありません。
まとめ
会計士は、経理や会計における専門知識を有した代表的な職業であり、国家試験の難易度が非常に高い資格としても知られています。会計士の主な仕事は、「監査」「税務」「コンサルティング」の3つであり、中でも監査業務は会計士の独占業務かつメイン業務となっています。
会計士になるためには、公認会計士試験への合格・3年以上の実務経験・実務補修の修了が必須です。実務経験と実務補修の併行は、公認会計士登録への近道と言えるでしょう。
責任感が強い方や会計・税務分野に興味がある方、さらに論理的思考力を備えている方は、会計士として成功しやすい傾向にあります。ここまでの内容を参考に、ぜひ会計士を目指してみてはいかがでしょうか。