COLUMN

2023.05.01 [ コラム ]

会計事務所の仕事内容は?年間スケジュール・繁忙期・やりがいも紹介

会計事務所の仕事内容は?年間スケジュール・繁忙期・やりがいも紹介

会計事務所での仕事は、税務や会計はもちろん、専門性を生かした新たな分野への取り組みがさかんに行われています。たとえば、国や地方自治体の運営する助成金や補助金制度への申請をする事業者の事業計画書作成をサポートして、採択後の事業伴走を行う会計事務所が近年増えています。

ただ、新たな取り組みの元になるのは、税務・会計の確かな知識と経験です。会計事務所では税務・会計の知識を身につけ、日々の業務に対応していくことが求められます。

今回は、会計事務所の主な仕事内容と年間の流れ、仕事の繁忙期、やりがい・魅力について解説します。

1.そもそも会計事務所とは?

会計事務所とは、税務と会計の専門知識をもつ公認会計士、税理士が開業し、個人や企業からの税務相談・申告業務、会計業務の代行を中心にサービスを提供する事業所です。

会計事務所は、運営者や個人・法人の違いにより大きく4つに分類されます。

会計事務所の種類 個人・法人区分 運営
公認会計士事務所個人事業所公認会計士
監査法人法人5名以上の公認会計士を含む共同運営
税理士事務所個人事業所税理士
税理士法人法人2名以上の税理士による共同運営

出典:e-Govポータル「公認会計士法」

出典:e-Govポータル「税理士法」

2.会計事務所の主な仕事内容

会計事務所の仕事に興味があるものの、具体的な内容を知らないという方もいるでしょう。求人にも仕事内容は記載されていますが、すべての仕事を詳細に記載しているわけではありません。

今回は、会計事務所で行われている記帳代行、巡回監査、決算、税務申告、コンサルティング、給与関連業務、相続税関連業務について解説します。

2-1.記帳代行

事業会社では個人事業主や企業にかかわらず、日々取引先から商品を仕入れ、顧客に販売するといった取引が行われています。取引時に発行・受領したレシートや振込明細書、クレジットカードの利用控えなどの会計資料をクライアントから預かり受け、整理・仕訳して会計ソフトに入力するのが記帳代行です。

記帳代行は時間と手間と正確さが要求される仕事で、入社後に知識や経験を積む方法の1つとして経験するケースがほとんどです。

2-2.巡回監査

契約している顧客の個人事業主や企業を月1回訪問し、会計システムに入力された内容の正確性を確認したうえで月次決算を確定させます。そして、確定したデータをもとに経営者と現状の把握、問題点を共有して、課題の解決に向けたアドバイスや今後の経営戦略への提言をします。

2-3.決算業務

法人の事業年度終了後から申告納税までの2か月以内に決算書を作成する業務です。決算書は会社の財政状況を示す貸借対照表、当事業年度の利益を計算する損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳書で構成され、専用のシステムや会計ソフトにデータを入力して作成します。

会社の1年間の運営成績表と言えるもので、法人税計算の根拠となる書類であることに加え、取締役会で経営成績を報告する際の資料にもなります。決算書の作成業務は会計事務所において重要な仕事の1つです。

2-4.税務申告

法人は事業年度の利益に応じ、法人税や消費税、地方税を納税する義務があります。顧客法人の課税所得を計算し、法定書類に記載し税務署に申告する業務が税務申告です。万が一、申告内容に誤りや計算ミスがあれば、顧客法人が追徴課税や信用喪失をこうむる可能性のある責任の大きい業務です。

税務申告には申告書作成の根拠を示す添付資料として決算書、法人事業概況説明書が必要なため、多くの会計事務所で決算書作成から税務申告までを一連の業務として行っています。

2-5.コンサルティング

会計事務所で最近増えているのがコンサルティング業務です。会計事務所の増加、AIの普及拡大により、事業所あたりの会計や税務業務が減少しています。売上減少を補填するため、近年顧客の会計資料をもとに経営戦略の助言・提言をする経営コンサルティング業務に力を入れる事業所が増えています。

税理士や公認会計士だけでなく、中小企業診断士資格者やMBAなど企業経営知識が豊富な人材を積極的に雇用する会計事務所も少なくありません。

2-6.給与関連業務

コンサルティング業務同様、給与関連業務も会計や税務で減少した売上補填として取り組む会計事務所が増えています。毎月、クライアントから送られるタイムカードや勤怠システムのデータを集計し、残業代、保険料、税金を算出し給与計算をします。

給与明細の作成に加え、源泉所得納付書の作成、年末調整の手続きも行います。

2-7.相続税関連業務

相続税に関する業務内容として、下記のサービスを提供します。財産評価や資料、申告書の作成などの時間を要する業務を代行し、税制活用による減税を図ります。

  • 相続税の試算、対策の相談、アドバイス
  • 財産目録の作成
  • 相続税の申告
  • 相続後の資産名義変更
  • 贈与税の申告
  • 譲渡所得税の申告

3.会計事務所の仕事|年間の流れは?

会計事務所の仕事内容は多岐にわたりますが、いずれの事業所も1年間の業務は記帳代行と確定申告を中心に行われています。事業所の提供サービスにより多少の違いはありますが、1年間のスケジュールはおおむね下記の内容です。

11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
記帳代行・巡回監査
年末調整
償却資産税申告
個人事業主確定申告
3月決算法人 確定申告
12月決算法人 確定申告

3-1.会計事務所の繁忙期

会計事務所の繁忙期は12月~5月です。6月~11月は事業所にもよりますが、比較的閑散期と言えます。

繁忙期である12月~5月の主な仕事内容は、以下の通りです。

■12月の主な仕事内容

  • 固定資産税の償却資産報告書作成、申告
  • 年末調整書類の作成
  • 源泉徴収票など法定調書の作成

■1月の主な仕事内容

  • 固定資産税の償却資産報告書作成、申告
  • 年末調整書類の作成
  • 源泉徴収票などの法定調書の作成
  • 個人事業主の確定申告書作成、申告
  • 12月決算法人の決算書作成

■2月の主な仕事内容

  • 個人事業主の確定申告書作成、申告
  • 12月決算法人の決算書作成

■3月の主な仕事内容

  • 個人事業主の確定申告書作成、申告

■4月の主な仕事内容

  • 3月決算法人の決算書作成

■5月の主な仕事内容

  • 3月決算法人の確定申告書作成、申告

12月~5月は会計事務所のメイン業務である確定申告があり、業務量が多くなります。特に申告締切のある2~5月は新規クライアントからの駆け込みでの依頼も多く、残業も増える傾向があることから、身体を壊さないよう体調管理が重要になる時期と言えます。

4.会計事務所の仕事内容は大変?やりがいもある?

会計事務所の主要な仕事である企業会計、税務は幅広く深い知識が必要です。基本的にミスや勘違いは許されず、税や会計にかかわる法律の知識も常にアップデートが必要になります。日々の業務に加えて、アップデートされる法律の知識に関する勉強は不可欠です。

また、確定申告など締切のある業務が多く、締切月には休みにくく残業が増える傾向があります。プレッシャーや仕事量の多さから、会計事務所の仕事は大変と考える方も少なくないでしょう。

しかし、会計事務所の仕事には得られるメリット、やりがい、魅力も多くあります。たとえば、以下のようなやりがいがあります。

税や会計に関する高度な知識が身につく
会計事務所での業務を行う中で、税や会計についての深い知識が自然と身につきます。身についた知識は、プライベートでも役立つでしょう。ほかの業種にはない、会計事務所ならではの魅力です。
社会的な知識、経験を積むことができる
さまざまな企業や経営者とかかわることは、社会的な知識や経験を広げます。得た知識や経験は転職時など会計事務所を出ても役に立ち、キャリアアップにつながります。
国を支える仕事という誇りがあること
会計事務所で行う税務は、国の税金システムを滞りなく進めるために重要な業務です。確定申告の作業は大変煩雑で、専門家のサポートなしでは難しい企業、個人事業主も多いでしょう。会計事務所の仕事は国を支える誇りのある仕事と言えます。

まとめ

会計事務所では、記帳代行、巡回監査、決算、税務申告、コンサルティング、給与関連業務、相続税関連業務を行います。個人や企業からの税務相談・申告業務、会計業務の代行を中心にサービスを提供しており、12月~5月は確定申告の業務が中心です。

確定申告の業務が増える12月~5月は会計事務所にとっての繁忙期であり、事務所の体制によっては業務量増による残業が発生するケースがあります。しかし、会計事務所にはほかの仕事にはない税や会計に関する知識が身につくなどの魅力も存在します。税務は国の税金システムをスムーズに進めるための業務であり、会計事務所は国を支える誇りある仕事と言えるでしょう。

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