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公認会計士と簿記の違いは?試験の概要や難易度を解説
公認会計士と簿記は、経理に携わる方はもちろん、それ以外の方からもよく知られる認知度の高い資格です。いずれも、資格取得後は経理・会計におけるスペシャリストとして活躍できるため、今後の転職やキャリアアップのために習得を考える方も多いでしょう。
しかし、公認会計士と簿記の違いについて深く理解できている方は意外と少ない傾向にあります。そこで今回は、公認会計士と簿記それぞれの資格概要から、試験方式・試験内容・難易度の違い、どちらを先に取得するべきかまで詳しく説明します。
目次
1. 公認会計士と簿記はどのような資格?
公認会計士と簿記は、いずれも「経理・会計に関する専門知識を有したスペシャリスト」であることを証明できる資格です。簿記検定は3級~1級の3つに分けられており、簿記1級検定の難易度は公認会計士国家試験と同様、非常に高いことでも知られています。
公認会計士・簿記試験は、いずれも難易度は高い一方で、資格取得後にできる仕事や働き方は大きく異なることも覚えておきましょう。
そこでまずは、公認会計士と簿記それぞれの資格概要を詳しく紹介します。
1-1. 公認会計士とは?
公認会計士とは、監査・税務・コンサルティングが主な仕事内容となる国家資格です。なかでも、監査業務は公認会計士のみが行える独占業務であり、公認会計士の一般的な仕事内容として広く知られています。
公認会計士の仕事(1)監査
依頼を受けた企業や各法人などを対象に、財務諸表を第三者目線で調査し、適切に作成されているかの監査意見を表明するなどして、財務諸表の信頼性を担保します。公認会計士の多くは、資格取得後に監査法人へ就職して監査業務に携わることも特徴です。
公認会計士の仕事(2)税務
公認会計士資格を取得することで、税理士登録ができるようになります。税理士登録をした公認会計士は、基本的に「税理士」として依頼を受けた企業の税務代理業務や税務署類の作成、さらに税務支援など、幅広い税務業務を行います。
公認会計士の仕事内容(3)コンサルティング
依頼を受けた企業の経営戦略の立案や経営全般に関する相談・助言を行います。会計知識だけでなく、組織再編・管理に向けたシステムやコーポレート・ガバナンスに関する知識も必要です。
1-2. 簿記とは?
簿記とは、企業や事業者のお金の動きを把握・記録し、経営状況を踏まえたうえで今後の経営方針をフォローする役割を果たす公的資格です。
簿記検定には難易度が低い順に3級・2級・1級と分けられており、最高級位である簿記1級を取得すれば幅広い企業の経理業務だけでなく、経営者の視点に立った経営分析・経営管理にも対応できるようになります。
また、簿記1級は税理士試験への受験資格にもなっています。実務経験を積んだうえで将来的に税理士資格の取得を視野に入れているのであれば、簿記1級の取得を目指すとよいでしょう。
2. 公認会計士と簿記1級の違い
前述の通り、公認会計士と簿記1級はいずれも難易度が高く、対象となる企業のお金の動きをチェックしたり、経理・会計業務を支援する職種です。
しかし、公認会計士は国家資格であり簿記1級は公的資格となるうえ、取得後の具体的な仕事内容や活躍フィールドも異なります。いずれも会計事務所やコンサルティングファーム、さらに一般企業の経理部門で働けるものの、公認会計士の場合は監査法人や税理士法人でも大いに活躍できます。
このように、公認会計士と簿記1級とでは立ち位置がやや異なり、資格試験制度や試験内容、難易度も細かに異なることを覚えておきましょう。ここからは、公認会計士と簿記1級における資格試験の方式・内容・難易度の違いをそれぞれ詳しく紹介します。
2-1. 試験方式の違い
公認会計士と簿記1級における試験方式の違いは、下記の通りです。
公認会計士の試験方式 |
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公認会計士国家試験では、1次試験と2次試験の2つの試験があります。 1次試験は会計の基幹となる専門的な知識が備わっているかどうかが試される試験であり、マークシート形式の短答式試験が出題されます。年に2回実施されており、一度合格すればその後2年間の1次試験は免除となります。 そして2次試験は論文式試験となり、公認会計士としての基本知識・応用知識が備わっているかどうかが問われます。年に1回しか実施されていないものの、科目合格制が導入されており合格科目はその後2年間免除されることも特徴です。 1次試験に合格しなければ、2次試験に進むことはできません。1次試験に一度合格しても2年間(2回)2次試験が不合格となると、再び1次試験から受けなければならない点に注意しておきましょう。 |
簿記1級の試験方式 |
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簿記1級試験は、公認会計士国家試験と違って統一試験となり、年2回実施されます。 また、簿記検定には3つの級位があるものの、3級・2級を受けずにいきなり簿記1級を目指すことも可能です。 |
2-2. 試験内容の違い
公認会計士と簿記1級における試験内容の違いは、下記の通りです。
公認会計士の試験内容 |
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公認会計士国家試験の短答式試験では、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目で構成されており、総得点の70%以上が合格ラインとなります。ただし、正答率40%未満の科目が1つでもあれば不合格となる点に注意が必要です。 そして、論文式試験では必須科目4つと選択科目1つの合計5科目で構成されています。必須科目は会計学(財務会計論と管理会計論)・監査論・企業法・租税法の4つで、選択科目では経営学・経済学・民法・統計学のうちいずれか1つを選択することとなります。 論文式試験の合格基準は、総得点の52%以上です。1科目でも40%を切ると不合格となるため、苦手分野をなくして網羅的に学習しなければなりません。 |
簿記1級の試験内容 |
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簿記1級試験は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目で構成されています。商業簿記と会計学、工業簿記と原価計算がセットとなり、試験時間はそれぞれ90分、トータルで180分となります。 公認会計士試験と同様、合格基準は正答率70%以上、正答率が40%を切る科目が1つでもあれば不合格となるため、網羅的な理解が求められることを覚えておきましょう。 |
2-3. 難易度の違い
公認会計士と簿記1級における難易度の違いは、下記の通りです。
公認会計士試験の難易度 |
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金融庁が公表している公認会計士の合格者データによると、2022年における公認会計士試験合格者数は願書提出者14,192人中1,360人、割合にして9.6%でした。なお、2次試験に絞り込んだ場合の合格率は34.1%と、大幅に高まることも分かりました。 しかし、いずれにおいても公認会計士試験の合格率は低く、難易度は高いと言っても過言ではありません。一発合格を目指すなら、徹底した試験勉強が必要となるでしょう。 |
簿記1級試験の難易度 |
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2022年度における簿記1級試験の合格率は、約10%でした。過去の統計においても合格率は基本的に10%前後となっており、公認会計士試験と同様、難易度の高い試験であることが分かります。 簿記1級試験の合格を独学で目指すなら、少なくとも1,000時間以上の勉強時間が必要と言われています。効率よく試験対策を行うには、過去問題から出題傾向をつかむことも大切です。 |
3. 公認会計士試験の前に簿記の資格は取得するべき?
簿記1級試験の内容は、公認会計士試験にもつながります。したがって、先に簿記1級資格を取得しておくと、後の公認会計士試験の勉強・試験対策もスムーズに進められるでしょう。
また、まずは簿記1級試験を取得し、実際に経理・会計に携わることで、自分に公認会計士が向いているかどうかもある程度把握できるようになります。
しかし、簿記1級資格の取得による公認会計士試験の優遇制度はありません。たとえ簿記1級資格を取得していても、公認会計士試験は無資格者と同じように試験を受ける必要があります。
試験勉強は必須となるため、簿記資格の取得に向けた勉強に加え、公認会計士資格の取得に向けた勉強もしなければならず、結果的に勉強時間が増える可能性があることにも注意しておきましょう。
まとめ
公認会計士は監査・税務・コンサルティングを行える国家資格であり、簿記は企業や事業者のお金の動きを把握・記録し、経営状況を踏まえた支援を行える公的資格です。いずれも「経理・会計に関する専門知識を有したスペシャリスト」であることを証明できる難関資格となっています。
簿記1級試験で学んだ内容は公認会計士試験にも通ずるだけでなく、簿記1級資格を取得すれば税理士試験の受験資格を満たせるようになります。そのため、公認会計士資格・簿記1級資格のどちらを取得しようか悩んでいる方は、まず簿記1級資格の取得から目指すとよいでしょう。