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2023.05.31 [ コラム ]

公認会計士試験の難易度は?他の資格との違いや勉強方法も解説

公認会計士試験の難易度は?他の資格との違いや勉強方法も解説

公認会計士や税理士などの資格取得を検討している方の中には、それぞれの試験の難易度が気になっている方もいるでしょう。公認会計士の試験は必要な勉強時間も長く、合格率も低いため、合格の難易度は決して低くありません。

当記事では、公認会計士試験の難易度とともに、他の資格との難易度の違いを解説します。少しでも合格率を上げるのに必要な勉強のコツも解説するため、公認会計士試験の受験を考えている方はぜひ参考にしてください。

 

1.公認会計士になる難易度は高い?

公認会計士は、日本三大国家資格の1つに数えられるほど難易度の高い試験です。たとえば、令和4年公認会計士試験の合格率は7.7%と非常に低い水準です。

出典:金融庁「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」

くわえて、試験合格前後に3年以上の実務経験を経た上で実務補習を受ける必要があり、取得のハードルの高い資格であることがうかがえます。

出典:日本公認会計士協会「公認会計士試験について」

 

1-1.公認会計士試験の合格に必要な勉強時間

公認会計士に合格するためには、平均4,000時間程度の勉強が必要であると言われています。1日5~6時間勉強したとしても、試験の合格までには年数にして最低2年程度の期間が必要となる計算です。

勉強時間が長くなる理由の1つとしては、ほとんどの受験生にとって受験勉強への専念が難しいことが挙げられます。公認会計士の場合、大半の受験生は学生もしくは社会人であり、学生であれば学業やアルバイトなど、社会人であれば仕事と並行して受験勉強を行います。日々の学業・仕事をこなしながら毎日5~6時間の勉強時間を確保するのは難しく、合格までに2~3年以上の歳月を費やすケースがほとんどです。

また、公認会計士試験は合格率が低く、1度の受験で受かる人は多くありません。受験の回数を重ねた場合、当然合格までの勉強時間は長くなります。さらに、試験は年に2回の短答式試験と年に1回の論文式試験に分かれており、短答式試験と論文式試験の両方の合格が必要です。試験の回数が少なく、再度受験可能になるまで1年近くかかるのも、勉強時間が長くなる原因の1つと考えられます。

 

2.公認会計士と他の資格の難易度の違い

公認会計士資格以外にも、難易度が高いと言われている資格はいくつかあります。そこで、比較対象として公認会計士と近い分野の資格を取りあげ、他の資格と比べた際の公認会計士の難易度について解説します。

 

2-1.税理士

税理士は、税金のエキスパートです。確定申告や税務調査の立会い、税務関連の書類作成などを担い、個人・法人の納税をサポートします。企業の会計業務を代行することもあります。

出典:日本税理士会連合会「税理士とは」

令和4年の税理士の合格率は19.5%となっており、公認会計士と比べると2倍以上の合格率です。

出典:国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」

税理士の試験内容は、必須科目の2科目と選択科目のうち3科目、計5科目を受験する必要があります。一方、公認会計士は短答式試験が4科目、論文式試験が5科目の計9科目となり、公認会計士のほうが広範囲の勉強が必要です。

出典:日本税理士会連合会「税理士の資格取得」

税理士資格も難関資格ではあるものの、合格率や試験範囲の広さから、公認会計士のほうが難易度は高いと考えられます。

 

2-2.司法書士

司法書士は、公的書類の作成・手続の代行を行う資格です。登記など法務局に提出する書類の作成・裁判所や検察庁あての書類作成・供託の審査請求手続の代行などを行います。青年後見人や破産管財人などの業務も司法書士の仕事の1つです。

出典:日本司法書士会連合会「司法書士とは」

司法書士の合格率はここ数年は3%台で推移しており、令和4年度の試験では約5%でした。公認会計士の合格率と比較するとやや低い数値です。

出典:法務省「令和4年度司法書士試験の最終結果について」

司法書士の試験内容は、択一式の筆記試験と口述試験の2段階となっています。公認会計士も短答式・論文式の2段階である点は司法書士と同様です。

出典:法務省「令和 4 年度司法書士試験受験案内書」

司法書士の不合格者は筆記試験から受け直しとなる一方、公認会計士は短答式・論文式の科目合格が2年間有効となるため、再試験のハードルが低くなっています。

司法書士・公認会計士のいずれも難関ですが、試験の方式などから、公認会計士より司法書士の難易度のほうが若干高くなります。

 

2-3.簿記1級

簿記1級は、簿記資格の中でも最難関の資格です。高度な商業簿記・工業簿記の知識から会社基準・会社法・財務諸表等規則など、経営管理や経営分析に必要な知識を求められます。

簿記1級の合格率は10%前後と、公認会計士より高めです。

出典:商工会議所の検定試験「1級受験者データ(統一試験)」

簿記1級の試験は商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目です。簿記1級では論文対策が必要ない上、試験範囲も公認会計士より狭く、範囲を絞った勉強がしやすくなっています。

出典:商工会議所の検定試験「試験科目・注意事項」

 

3.公認会計士試験に合格するためには?

公認会計士試験は難易度が高く膨大な勉強量が必要なため、合格には勉強時間の確保だけでなく勉強のコツを押さえることも必要です。ここでは、公認会計士試験の勉強のコツを解説します。コツをつかんで少しでも効率よく勉強を進め、合格を目指しましょう。

 

3-1.勉強のスケジュールを立てる

公認会計士の勉強は範囲が広く、学業や仕事と両立しながら長期間をかけて取り組む必要があります。無計画に勉強を進めると試験当日までに必要な勉強が終わらなくなる恐れがあるため、しっかりとスケジュールを立てて勉強を進めましょう。

スケジュールを立てるコツは、長期・中期・短期と異なる期間を設けてスケジューリングすることです。長期のスケジュールから中期・短期と細分化すると計画を立てやすくなります。また、異なる期間でスケジュールを設定しておくと見通しを立てやすく、進捗が分かりやすいのでモチベーションの維持にも役立ちます。日々の勉強がスケジュール通りに進まなかった場合に軌道修正しやすいのもメリットです。

 

3-2.苦手なところを放置しない

公認会計士試験では足切り点が設定されており、短答式・論文式ともに正答率が40%に満たない科目があると不合格になります。そのため、苦手な科目を放置していると合格できません。公認会計士試験においては得意な科目だけを伸ばすのではなく、苦手科目の勉強もしっかり取り組むのがおすすめです。

出典:金融庁「合格基準について」

全科目が足切り点に引っかからなければ、合格の可能性は高まります。全体の正答率を高めることを意識しつつ、苦手科目でも40%以上取れるだけの勉強をしておきましょう。

短答式ではほとんどの科目が100点満点となっている中、財務会計だけは200点満点と配点が大きくなっています。配点が大きい科目は、点を取りこぼした場合の影響が他の科目より大きくなります。苦手意識のある人も、財務会計については特に重点的に勉強しておくとよいでしょう。

 

3-3.科目ごとのコツを押さえる

公認会計士試験は、短答式・論文式を合わせて9科目あり、全科目で40%以上正答した上で合格基準を満たす必要があります。受験科目はすべて重要となるため、科目ごとにコツを押さえて勉強することが大切です。

たとえば、全科目の中で配点の高い財務会計論の場合、計算を行う「簿記」と理論の「財務諸表論」に分かれています。最初は簿記の計算問題を重点的に解きながら、徐々に財務諸表論の勉強にウェイトを置き、理解を進めるようにするとよいでしょう。

ただし、同じ科目でも短答式と論文式では出題傾向が異なります。科目別に短答式と論文式の出題傾向の違いを把握し、自分が受験を目指す試験に合った勉強法を考えましょう。

 

まとめ

公認会計士試験の令和4年度の合格率は7.7%であり、他の試験と比べても非常に難易度の高い試験です。合格のために平均で4000時間以上の勉強時間がかかることや、試験が年1回しかないことから、公認会計士試験の難易度は高くなりやすい傾向にあります。

公認会計士試験に合格するには、勉強の計画をしっかりと立て、苦手科目を作らないように知識をつけておくことが大切です。公認会計士になるには実務経験も必要である点に注意しましょう。

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